第165章

大島莉理は完全に口が滑っただけだった。気づいたときには、もうその質問を声に出してしまっていた。

個室は一瞬で沸騰する。

「いい質問!」

「それ聞きたかったやつ!」

上司の気持ちなんて誰も気にしない。彼らは彼らで、仕事では「プロ」で「気が利いて」――そして、こういうときだけ妙に忠実な社員たちだった。

大島莉理は思わず睨みつける。仕事より噂話が大好物な連中め。

田中辰哉が黙ったままなのを見て、大島莉理が言った。

「プライベートの質問が嫌なら、罰酒でいいでしょ」

途端に、面白がった声が飛ぶ。

「おお……」

「部長、田中社長に優しすぎません?」

酔いが回った誰かが、ニヤニヤしな...

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